グリオーマは、脳や脊髄を支えるグリア細胞(神経膠細胞)から発生
する難治性の悪性腫瘍で、脳の実質内に水がしみ込むように周囲の
正常な脳組織へ浸透しながら広がっていく性質があり、従来の抗癌剤や
放射線治療ではほとんど効果が認められません。
獣医学領域では中高齢のボクサー、フレンチ・ブルドッグ、
ボストン・テリア、イングリッシュブルドッグなどの短頭種に多く認められます。
主な症状としては
1. 頭蓋内圧亢進症状:腫瘍や脳の浮腫(脳浮腫)によって頭蓋内の
圧が高まり、強い頭痛(頭を壁などに押しつける)、吐き気、嘔吐など
現れます。
2. 局所症状(巣症状):できた場所によって異なり、四肢の麻痺、感覚
障害、痙攣(てんかん発作)などが起こります。
〔診断〕:CTやMRIなどの画像検査を行い、手術などで採取した
組織を調べる「病理診断」で最終的な性質や悪性度を
確定します。
〔治療〕:従来の外科手術や放射線治療および抗癌剤治療を
組み合わせても長期の生存は望めません。
では、西暦2020年代令和の時代になっても打つ手は変わらないので
しょうか。まだ、根本的に治すには至らないものの少しずつ新たな
知見が蓄積され、今日までと違う攻略ポイントが発見されつつあります。
以下、新たな治療戦略を列記していきます。
〔攻略ポイント〕
1. 交感神経を抑制せよ
理由として交感神経の興奮は腫瘍と神経の相互作用によりグリオーマ
の増殖および広範な浸潤において中心的な役割を果たします。
対応する薬剤及びサプリメント
A. ACE阻害剤
B. カンナビジオール
C. DHA・EPA
D. 抗てんかん薬
E. サブスタンスP阻害剤
2. 腫瘍周囲の浮腫を低減せよ
理由として脳腫瘍が大きくなるにつれ周囲の神経組織を圧迫し、
浮腫が生じ、それが原因でてんかん発作が起こるため
それに対応する薬剤としてデキサメサゾン、マンニトールなど
3. 腸内細菌叢を改善し、悪液質から脱却せよ
近年、腸内細菌叢と中枢神経系・免疫系の相互作用は、
腸-脳-免疫連関として全身恒常性制御の中核機構の1つと考え
られるようになってきました。
悪液質進行期には腸内細菌成分の一種であり炎症を惹起することが
知られるLipopolysaccharide(LPS)の血中濃度の有意な上昇が
認められました。LPSは脳内免疫細胞を活性化し、神経炎症を誘導し
ます。腫瘍進展に伴う腸内環境の波紋が、中枢神経系への炎症入力を
増幅する結果となります。
それに対応する治療手段として
A. 週1回ペースでのオゾンガス注腸処置
B. 善玉菌を増やすサプリメント
新ビオフェルミンS錠、オリゴ糖シロップなどを毎日与える
4. 腫瘍への血管新生を阻止せよ
悪性腫瘍が大きくなるためには多量のエネルギーや栄養素を必要とします。
そこで悪性細胞がVEGF(血管増殖因子)を分泌し、血管を新たに作成
して自身に都合が良いように血管網を構築します。
それに対応する治療手段としてサリドマイドがあげられます。
この薬は血管新生抑制作用の他に強力な睡眠導入作用があり、夜に
投薬すれば脳をしっかり休ませることができ、交感神経の興奮を
抑えることができます。
5. 脳の低酸素(酸欠)状態を改善せよ
元々獣医界では短頭種(ボクサー・フレンチ・ブルドッグ・
ボストン・テリア・イングリッシュブルドッグなど)にグリオーマを
始め脳腫瘍が多発することが知られています。頭の形から
脳が酸欠状態に陥りやすく、これが脳腫瘍の悪性化を
加速する原因の1つと考えられます。
それに対応する治療手段として、外出時以外は酸素BOXに入れてあげる。
院長獣医師である東條が治療に関するご相談(有料)承ります。
お気軽にお電話ください。
院長 東條 雅彦
2026年(R8)8月グリオーマ(神経膠腫)の治療について
2026.09.21更新
投稿者:











