新しい診療治療法

2026.01.28更新

人間の若者に多く発症する骨肉腫は、人では比較的まれな疾患で
ありますが、犬においては大型犬に多く認められ、年に数回
遭遇する事もあります。治療法としては、
外科手術・放射線・殺細胞性抗癌剤
(アドリアマイシン・カルボプラチン・シクロフォスファミドなど)
が主流となっております。
ですが、ほとんどすべての症例において血行性肺転移により死の
転機をとります。近年、癌細胞の特定分子を標的とする新しい
抗癌剤として分子標的治療薬が生まれ、人医領域では肺転移を持つ
骨肉腫症例に対し、mTOR阻害剤であるラパマイシンが肺転移巣の
縮小を認めることが判明しました。このラパマイシンは、今まで人医
しか入手できなかったのですが、近年アメリカ合衆国において猫の
肥大性心筋症に対する治療薬としてFDAに認められ、海外薬ですが
獣医師にも手にいれることができるようになりました。
今まで肺転移巣の拡大により呼吸困難となり、死亡していたワンちゃんに
対し、ゲームチェンジャーとなり得る動物薬と考えております。
この話に興味を持たれ、治療をお考えになった飼い主様が
おられましたら、院長獣医師である東條をご指名のうえご相談(有料)
してください。
                         院長 東條 雅彦

投稿者: 長居動物病院

2026.01.28更新

ドキソルビシン5-6回静注したあと
その後の治療について(蓄積性心筋毒性)

血管肉腫は、悪性度と分裂性の強い血管内皮の腫瘍であります。
犬における治療の第1選択薬はドキソルビシンと呼ばれる抗癌剤で
あるが、蓄積性の心臓の筋肉に対する毒性があり、3週間毎の
静脈注射で回数制限があります。しかも、血管から抗癌剤が漏れる
と、重篤な皮膚組織の壊死が起こり、最悪の場合断脚も考えなけれ
ばならないなど獣医師にとって、いやな抗癌剤の1つです。
それだけ苦労して投薬しても、生存期間中央値は約6ヶ月、1年
生存率は10%以下であります。
◎もともと血管の内側にある細胞の腫瘍なので肺、腹腔内リンパ節、
 肝臓、腸管膜、大網、腹膜、骨、脳、皮膚など血管の存在するい
 たるところに転移する非常にやっかいな悪性腫瘍です。
◎ではドキソルビシンを使用できなくなったあと何かできることはな
いのか、次の一手は何もないのかということです。
私自身、現在ドキソルビシン終了後4ヶ月生存しているミニチュア・
ダックスフンドを治療しています。私は血管肉腫を攻略するポイント
が大きく分けて4つあると考えています。
第1番目 血栓を作りにくくすること
ドイツの病理学者で、歴史上有名なウィルヒョウの三徴
(血栓症のリスク因子)
血管壁の異常
血流のうっ滞
血液凝固能亢進(血液どろどろ) 
から考案した治療法です。
血管肉腫は、血栓症による死亡率が非常に高い悪性腫瘍です。
もともと血管壁由来の腫瘍なのであたりまえといえばあたりまえだと
思います。これに対する治療法としては、血栓および凝固亢進の予防
としての内服薬や低分子ペリンの注射薬があげられます。
血流のうっ滞、血液凝固能亢進に対しては、血液をサラサラにすれば
良いのでw-3脂肪酸の内服サプリメントを使用しております。
第2番目 血管新生を抑制すること
レブリチン投与
レブリチン投与
悪性度が高くなればなるほど腫瘍自身が大きくなろうと細胞分裂を
繰り返し、より栄養やエネルギーが必要となります。
そのため腫瘍が新たに血管を作り、自身へ引っ張り込もうとします。
これに対しては、サリドマイド(内服薬)、レブリチン(注射薬)な
どの薬を使用することにより血管新生を抑制することがある程度可
能となりました。
第3番目 腸活(腸活による体内の免疫力Up)
腸内には無数の腸内細菌が動物と共生しており、その中で善玉菌を増
やすことが体全体に存在する免疫細胞集団の60%ー70%をかかえる
腸を元気にし、自身の免疫力Upすることにより腫瘍と戦い排除する
力を持つと言われています。その中で血管肉腫に対しては、
カワラタケ(2000年以上前から使われてきた漢方薬)の成分である
PSP(Polysaccharide peptide)に免疫調節作用および抗腫瘍効果があり、
ペンシルバニア大学で脾臓の血管肉腫摘出後、毎日与えられた犬の
生存期間が抗癌剤と同等であるとの研究結果が出ました。
米国ではすでに多くの獣医師および腫瘍専門医が血管肉腫の治療に用い
ています。
第4番目 非ステロイド系抗炎症薬
腎臓が悪くなければ使用できる薬であり、腫瘍細胞が分泌するプロスタ
グランディンE2(PGE2)を抑えることにより腫瘍細胞周囲に起こっている
炎症や局所免疫の低下、転移の促進などを抑える効果があります。


以上、4つの治療を組み合わせることにより、まず1年生存率を延ばすこと
を目標としております。

 

                       院長 東條 雅彦

                                                                                                                    

投稿者: 長居動物病院

2025.08.09更新

 

犬の胃癌は極めて悪性で、吐血などの症状が出た場合は周辺のリンパ節などに転移しており
2025年現在、外科手術による切除ができない症例は内科治療がほぼ皆無でありました。
しかし、医学・獣医学は日進月歩であり人の医学では外科手術による切除が不能の症例に対し
以前より潰傷性大腸炎に使用されていた治療薬が有効なことが、第一相試験で証明されました。
この薬は獣医医療でも使用されており、比較的安価であることから他の制吐剤・抗潰傷剤と併用して
用いることができます。

 

この記述に興味を持たれたり、現在治療法がないと診断された方は御来院、御相談(有料)、承ります。
院長獣医師東條と御指名のうえ御予約ください。

 

院長 東條 雅彦

投稿者: 長居動物病院

2024.07.08更新

犬の悪性組織球肉腫は、免疫細胞の一種である樹状細胞由来の悪性新生物で、大型犬である

バーニーズマウンテンドッグ、フラットコーテッドレトリバー、ラブラドルレトリバー、ゴールデンレトリバー、ウェルシュコーギーなどに多く認められる腫瘍です。

中年齢からの発症が一般的ですが、若齢で発生することもあります。組織球肉腫は、急速に広がり転移を起こす悪性度の高い腫瘍で、貧血を起こす血球貧食性組織球肉腫と言われる特殊な型もあります。

初発部位としては、脾臓・肺・中枢神経・骨髄・皮膚・皮下などが挙げられ、転移先として肝臓・肺がもっとも多く認められ、検査方法として主に次の方法が挙げられます。

・触診を含む身体検査
・血液検査
・細胞診(腫瘍に針を刺し採取した細胞を顕微鏡で観察する検査)
・胸部レントゲン検査
・腹部超音波検査
・手術による病理組織検査
・CT、MRI検査

 

治療法として
1.手術
発生部位が限定的であれば、外科手術で病巣を摘出し病理診断をしたのち化学療法CCNU(ロムスチン、内服薬、海外薬)、ACNU(ニムスチン、注射薬、国内薬)など3週間隔で投与するのが一般的です・

2.放射線治療
発生部位が限定的で、外科手術を望まないのであれば何回かにわけて放射線照射をしたのち手術後と同様に、化学療法を行う方法です。

3.化学療法
組織球肉腫が全身播種し、外科手術や放射線治療の適応外である場合は、CCNU、ACNUなどのアルキル化剤と呼ばれるがん細胞のDNAのコピーができないようにする抗癌剤が第一選択となります。
しかし、ほとんどの場合数カ月で薬剤耐性ができてしまい打つ手がないのが現状です。
ところが人医療の進歩に伴い、MEK阻害薬と呼ばれる細胞の異常増殖を引き起こすMEKタンパク質の活性化を阻害することで、がん細胞の増殖を抑える内服薬、抗がん剤が出現しました。

現在内服中のバーニーズマウンテンドッグの飼い主様からの問診では、CCNUに対し薬剤耐性ができてしまったが、この新しいタイプの抗がん剤を使用したところ、胸部レントゲンで肺野がきれいになり、食欲も増し、元気も出てきたという著しい効果が見られているとの報告を受けました。

 

今まで打つ手がなかっただけに、獣医師としては喜ばしい限りです。

費用面などの問題はありますが、御来院、御相談、承ります。院長獣医師東條と御指名のうえ御予約ください。

院長 東條 雅彦

投稿者: 長居動物病院

2023.09.05更新



グリオーマ・グリオブラストーマ(GBM)神経膠種・神経膠芽種は非常に悪性度が高く、現行治療(放射線や抗がん剤など)では治療困難な脳腫瘍で、人間だけでなく犬や猫にも認められます。
2023(令和 5 年)に出た Nature という世界トップレベルの学術雑誌の中で、グリオブラストーマの腫瘍細胞は、神経細胞と接続することで細胞増殖が活性化していることがわかりました。

その結果、シナプス(神経細胞同士が連絡する接点)形成などに重要なタンパク質であるThrombospondin-1(Tsp-1)の発現が上昇していることが発見されました。

 

そこで、Tsp-1 阻害剤である Gabapentin(ガバペンチン)を使用すると腫瘍細胞の増殖を抑制できることが明らかになりました。
今回の発見は、脳腫瘍に伴う脳機能障害が腫瘍拡大による単純な圧迫による脳浮腫だけではなく、腫瘍と神経のシナプス形成による脳機能ネットワーク改変による障害や腫瘍増殖も原因であることがわかりました。
ここに登場するガバペンチンはすでに犬のてんかんや神経疼痛を抑える薬として、日本国内でも販売されています。

 

獣医界のみならず、人間の脳腫瘍の治療にも大きなインパクトを与える可能性も秘めています。
もし、獣医の大学病院や二次病院の画像診断で神経膠種と診断され、手の施しようがないと宣言されたら、是非一度院長獣医師東條雅彦までご連絡ください

投稿者: 長居動物病院

2021.08.06更新

ワンちゃんの肝臓癌の約70%は肝細胞癌であります。

肝細胞癌は腫瘤型結節型びまんの型の3つのタイプがあります。これらのうち腫瘤型は外科手術で摘出が可能であれば治療としてはベストだと思います。

ですが、複数の肝葉を侵している結節型や、散らばっているようなびまん型は外科手術が不可能です。

それでは黙って放置するしかないのでしょうか?

 

近年、腸内細菌叢の研究が急速な進歩をとげ、高脂肪食の取り過ぎや肥満になると、腸内でグラム陽性菌(染色液で青っぽく染まる細菌)が増殖しグラム陽性菌の細胞壁成分であるリポタイコ酸が腸肝循環である門脈を経由し、肝臓に至り肝臓腫瘍部でPGE2(プロスタグランディンE2)と呼ばれる炎症物質が多く産生されることがわかりました。

このPGE2は、炎症を起こすと同時に、抗腫瘍免疫(癌細胞を攻撃する免疫細胞、例えば、キラーTリンパ球やNKTリンパ球というような細胞性免疫)を抑制し、肝癌細胞を大きくしてしまうようなことが起こります。

 

以上の事実から、肝細胞癌を大きくしない為に2つの攻撃ポイントがあることがわかりました。

その1,肥満を解消し、腸内のグラム陽性菌数を減少させる。

その2,肝細胞癌が産生するPGE2(プロスタグランディンE2)をブロックすることにより、抗腫瘍免疫を復活させ再びキラーTリンパ球やナチュラルキラーTリンパ球を活性化させ、肝細胞癌を攻撃させること。

 

その1については、犬の食事療法や運動することによる肥満解消、整腸剤や抗生物質、オゾン注療法などによるグラム陽性菌数を減らす方法がとれること。

その2については、2021年現在、日本国内で犬の治療に用いられている。一部の非ステロイド系抗炎症剤を使用しPGE2を減らす方法が考えられています。

 

犬の肝臓癌の治療について、興味のある方は院長獣医師の東條雅彦にご相談、お電話ください。不在の場合こちらより連絡させていただきます。

院長 東條 雅彦

投稿者: 長居動物病院

2019.08.13更新

口腔内メラノーマ(悪性黒色腫)は、老犬に多く見られ上顎、下顎骨切除や放射線治療など全身麻酔下での生体にダメージが大きい治療にもかかわらず、周辺リンパ節や肺、脳などに転移し、治療の甲斐なく短命な結果に終わります。

 

もともとメラノーマ(悪性黒色腫)は抗原性が高く(宿主の免疫細胞に発見されやすいこと)本来なら免疫細胞の標的となり破壊されてしまうはずなのに、なぜどんどん大きくなってしまうのでしょう。

それは、癌細胞が宿主の免疫細胞から身を守るため表面にバリアとなる分子を発現(防弾チョッキを着る)したり様々なサイトカインと呼ばれる液体分子を出す(戦闘機が妨害電波を出す)ことにより免疫細胞を無力化してしまうからです。

分かりやすく説明すると、いくらアガリスクやAHCC、コルディG、イペットSなど免疫増強サプリメントだけを与えても自動車で例えると、アクセルを踏み続けてもブレーキを解除しなければ車は前に進みません。

やがてエンジンが壊れ車が廃車(すなわち体力を消耗して悪液質となり死に至る。)となってしまいます。

 

そこで当院では、アクセル、すなわち免疫を増強させるために注射薬(ルペオール、犬用インターフェロン、丸山ワクチン)を二週間に一回皮下注射し、ブレーキを解除するため分子標的剤のトセラニブ、非ステロイド系抗炎症剤やシメチジンを用いて治療を行い大きな副作用も認められずほぼ全頭に、元気食欲増進、腫瘍の縮小が見られ飼い主さまから好評をいただいております。一部の症例の使用前、二週間後の顔写真を掲載しておきます。

 

ブログ用

 

ブログ用

 

私に最短二週間長くても一か月の治療時間をください。それで結果がでなければ、いさぎよくこの治療から手を引きます。

なお、この治療については院長獣医師の東條雅彦にご相談、お電話ください。不在の場合こちらより連絡させていただきます。

 

院長 東條 雅彦

投稿者: 長居動物病院

2019.06.25更新

多発性骨髄腫は、骨髄内でリンパ球の中の形質細胞が腫瘍化し、増殖した疾患で重度になると、骨融解が起こり、ベンスジョーンズ蛋白尿です。

重度になると、骨融解が起こり、ベンスジョーンズ蛋白尿を排出し、貧血や好中球減少症、血小板減少症、高カルシウム血症などが認められ、正常な免疫グロブリン濃度が抑制されている場合は、膀胱炎など二次的に感染症を引き起こしているケースが見られます。また、骨融解により椎骨が押しつぶされ、不全麻痺や急性の麻痺が認められたり、虚弱、はこう、麻痺、疼痛が見られこともあります。

 

<治療>

標準治療としては、メルファラン、プレドニゾンを使用し、6週間後でも反応率が50%以下である場合は、メルファランをクロラムブシルに変更する必要があります。しかし、標準治療に反応しない症例があるのも事実で、骨融解による骨折や疼痛を緩和しなければ、Q.O.Lが下がり、元気食欲も起こりません。

 

そこで当院では、治療に反応しなかった症例に対し、

 

1.骨融解を阻止するため、ゾレドロン酸の点滴静注

2.腫瘍化した形質細胞を破壊するため、サリドマイドの内服とデキサメサゾンの注射

 

で、緩解を目標に治療をしています。

 

なお、この治療に対してご希望があれば、院長 東條雅彦までご連絡ください。不在の際は、こちらからご連絡させていただきます。

 

投稿者: 長居動物病院

2017.11.14更新

犬や猫の扁平上皮癌は、皮膚や口腔内、特に高齢化した動物に多く見られます。
外科手術や放射線治療で治療できれば、それにこしたことはありませんが、全身麻酔下でおこなう必要があり、体に受けるダメージも部位によっては、大きいものがあります。
では、内科的な治療法はないのでしょうか。
時代の進歩とともに注射薬、内服薬、外用薬が選択肢として表れました。
①注射薬
ルペオール注射液
癌細胞の核内遺伝子NF-kBに働き、癌による炎症疼痛を抑える働きをします
ビタミンA注射液
未熟な扁平上皮の癌細胞を角化させる働きをします。

②内服薬
Palladia(トセラニブ)
チロシンキナーゼと呼ばれる細胞分裂に働く信号をブロックすることにより、扁平上皮癌細胞を縮小させます。
ピロキシカム
本来非ステロイド系抗炎症剤でありますが、プロスタグランディンE2という炎症物質であり、免疫抑制物質を抑制することにより癌細胞の増殖を抑制します。

③外用薬
セラミド
本来化粧品にも使用される皮膚のうるおい成分でもありますが、癌細胞をアポトーシス(死亡させること)させる作用があることが近年発見されました。
皮膚表面だけでなく、口腔内にも使用できます。現在、当院では犬と猫の口腔内扁平上皮癌に使用しております。

これらの治療法についての質問、お問合せは院長、獣医師東條がうけたまわります。お気軽にお電話ください。
院長不在の際は、こちらからご連絡させていただきます。

投稿者: 長居動物病院

2017.11.14更新

犬の乳腺腫瘍の約50%が悪性であり、そのうちの約半分つまり全体から見ると約25%がリンパ節、肺、脳などに転移するきわめて悪性度の高い乳腺癌と言われているものです。
これまでは、有効な抗癌剤はなく、はっきり申し上げてお手上げの状態でした。
しかし、最近、海外文献より人間の糖尿病治療に使用し、約50年の歴史のあるメトホルミンという薬が犬の乳腺癌に反応し、縮小することが判明しました。メトホルミンは血糖値を下げる力はマイルドで低血糖になることはまずありません。
この薬は乳腺癌細胞の増殖を抑え完治を目指すものではなく、共生をめざすものです。しかし、すべての症例に効果があるとは限りませんので、まず1か月間内服してみてください。反応すれば、乳癌が小さくなっていくのが実感できると思います。

これらの治療法についての質問、お問合せは院長、獣医師東條がうけたまわります。お気軽にお電話ください。
院長不在の際は、こちらからご連絡させていただきます。

投稿者: 長居動物病院

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